Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
いた。
グランドピアノの下あたりに、誰かかくれていはしないかとのぞき込んだが、誰もいなかった。
村川は、その部屋のドアを閉めると、応接室のテーブルの下、主人の書斎の安楽椅子の下、等身の書棚のうしろ、人のかくれ得る可能性を持つ隅々を捜したが、人影は更になかった。
やっぱり、日本館だ、厄介だな、そう思いながら、長廊下を伝わって日本館へ行った、とっつきの二十畳の大広間、次の十二畳、その次の六畳、そこは倭文子の部屋だった。
彼は、倭文子のことはあまり多くを知っていない。彼が、一高時代に川辺家へ出入りしていたときには、倭文子はまだいなかった。倭文子が、実父が死んだために関西の田舎から、伯父の家にたよって来たのは、二三年来の事らしい。伯父の家に来ている以上、彼女はむろん、好遇されるべきはずである。だが、彼女のこの居室なども、何という簡素なさびしさであろう。長さ三尺にも足りない小さい机と、それに適しい本箱、二重ねの小さい箪笥、ただ女らしい彼女の身だしなみを見せて、部屋はキチンと整っていて、塵一つ散っていない。村川は、中へ入って押入をあけるのも、何だか気の毒のような気がして、開けた障子をすぐ閉めて、廊下を隔てた夫人の居間の障子を開けた。