Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
京子が、どこかへ外出するのだと思っていると、すぐ後から、鳩色羽織を着たおとなしい姿の倭文子が、うつむきがちに、玄関を降りて来た。と、すぐつづいて細長い旅行カバンが二個、バスケットが一つ。
旅行だなと思うと、村川はその前にたった一言でも倭文子と言葉を交したかった。だが、つい二三日前激語を交し合った京子がいる。その上、玄関へ出て行くのには、寝衣である。なぜ、昨夕約束を破ったのか、それとも一枝の姿を見かけて来なかったのか、咽喉の焼けるほど訊きたいことはたくさんあるが、村川はただだまって見つめているほかはなかった。
川辺夫人までが、玄関に送り出ている。長い旅行だと思うと、村川はいよいよ情なくなって来ると共に、それが京子が倭文子を自分から離そうとする策略であることがハッキリわかって来た。だが、倭文子に対して、公然とは何の権利もない村川は、ただ胸をかきむしってくやしがるほかはなかった。
と、一時止まっていたエンジンが始動し始め、京子と倭文子との顔が並んで、美しく微笑しながら、家人にあいさつしたかと思うと、自動車は一二度の警笛の音を名残りに邸外へ走り去った。