Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
そして、自分以上の痛みを人に与えることによって、自分の痛みをこらえようとしていた。
葉山へ来てから、四五日目の夕方、それは土曜日に当っていた。二人は、つれ立って散歩に出た。御用邸の前を通って、遠く長者ヶ崎まで歩いた。だが、あの岬を廻り、大崩れの海岸を一目見ると、荒涼たる風景に心が痛み、すぐ引き返した。夕暮の雲がしずまり、二三日見なかった富士が、くれそめた波の彼方に、いつまでも淡く残っていた。シーズンはずれのさびしい葉山の街には、もう灯がともっていた。
「倭文子さん。あなた宮田さんとの話、もう一度お考えになったらどう。」
しばらくの間、だまって歩いていた京子は、急にまじめな話をはじめた。
倭文子は、その話は一度、断っておいたのである。だが、そのときと今とは、事情が違っている。でも、こんな場合に、すぐそんな話を受け入れるほど、彼女は浮薄ではなかった。
「ええ。」
彼女は、その中に軽い否定の意味をふくませた。
「わたし、けっこうだと思うわ。申し分ない方じゃないの。」
「でも……」
「あの方のどこがお気に入らないの。」
「まあ。気に入らないなんて、もったいないわ。でも、わたし何だか気が進まないんですもの。