Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
」
彼は、甘ったるい微笑が、自分の頬に浮んで来るのをどうともすることが出来なかった。何というつつましい求愛だろう。彼女にふさわしい求愛の手段だ、村川はそう考えた。
彼は、美男であるために、京都大学時代から、いろいろな女の求愛に接した。彼が、少し色魔的な分子を持っていたならば、彼は幾人もの女の愛を、自分自身を少しも傷つけることなしに、享受し得たかもしれない。だが彼は、温良しい上に、ただ一つの潔癖がある。それは、自分が愛し得ない女には、指一つ触れることさえ出来ない性情だった。愛の潔癖性、それが彼を青春時代の危機から、救ってくれた。
学生時代に、友人に連れられて祇園のお茶屋に行ったときなど、彼はそこに来た二十四五になる美しい名妓から、一目惚れされた。彼女は、彼を追って階下へ降りると、彼の耳にささやいた。
「あんたはん、この次一人でおいでやすや。あてえ、ここの家へあんじょういっときますわ。あしたおいでやすか、それともあさってにおしやすか。」
村川は、真赤になりながら、返事もしないで二階へ上って行った。
女は、それでもあきらめなかった。彼の友人を通じて、幾度も彼を引き出そうとして、失敗すると、友人から彼の宿所をきいて、下宿へ二三度押しかけて来た。