Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
「倭文子さん。どうぞ、気をしずめて下さい。どうぞ、帰って下さい!」
宮田は、両手に力をこめて倭文子を抱き起そうとした。倭文子は身をのけざまにして、それを拒んだ。
「倭文子さん。こんな所にいて、人が来たらどうするのです。あなただって、僕だって!」
宮田は、声をふるわした。
「あなたこそお帰り下さい。」
「僕が帰れるもんですか。すなおに帰って下さらないのなら、力づくでもおつれしますよ。」
倭文子は、さし延ばした宮田の手をさけて立ち上った。彼女は、また崖ばたへ急ごうとするのを、宮田が飛びついて、抱き止めた。ふりもがこうとする倭文子の全身を宮田は男性の力でやっと支えながら、道路の方へひきずった。
道路の上を、自動車が、一つ走りすぎた。だが、もう十時に近いので、人は先刻から一人も通らなかった。通ったにしろ、二人の争いの声は、海のひびきにのまれて聞えなかっただろう。
道路まで、倭文子を引きずって来ると、宮田は安心した。安心して手をゆるめると、倭文子はそれを待っていたように、必死な力で宮田を振りはなして、またひらりと石堤をとびこして、岩の上に飛び降りた。
岩の上の勝手が、前よりもよくわかっていると見え、倭文子は足早につつと岩の上を走った。