Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
六
」
村川が、倭文子の答えを促したとき、彼女はシクシク泣き出した。
「僕のいったことが、お気にさわりましたか。」
「いいえ。わたしうれしいのです。」
倭文子は、そういいながら、声を立ててむせんだ。
六
「わたしは、寂しかったのです。頼りにする人が誰もなかったのです。」
倭文子は、泣きつづけた。父も母も失って、伯父の家に引き取られ、わがままないとこに虐げられながら、彼女は孤独な寂しい日々を暮していたのだ。村川の言葉は、荒涼たる人生の海に漂っている彼女に投げられた力強い生命の綱であり、幸福の綱だったのだ。
「そうですか。僕はこんなにうれしい事はありません。僕は、ほんとうはあなたを愛しているのです。あなたさえ許して下されば、すぐ結婚してもいいと思うのです。」
彼女はだまっていた。
「僕と結婚して下さる気はないのですか。」
「いいえ。でも、わたし京子さんが、こわいわ。」
彼女は、初めて胸中の秘密を打ち明けた。
「なぜです。」
「あなたと一緒にカーテンの陰にかくれたといって、それはそれはいやなことおっしゃるのよ。」
「そうですか。」
村川も、暗然とした。
「こんな所で話している所を、誰かに見つけられて、京子さんにいいつけられたら、わたしこの家にいられませんわ。