Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

今井は、金口のシガレットをくゆらせながら、ニコニコ村川に話しかけた。

「君とは、一度ゆっくり話したいと思っていたんだよ。でも、暇がなくってねぇ。」

「いや、私こそ一度ゆっくりお礼を申したいと思っていたのです。」

村川は学生時代もらっていた学資の礼をいった。

「いや、そんなお礼は一切ヌキにしようよ。僕は、そう思っているんだよ。僕のようなものが学資のない人達の面倒を見るのは、当然の義務だよ。またもらう方じゃ、だれからもらったってこれだけは恥にならないものだよ。お礼を改めていうにも当らないさ。君が、それで有為の人物になってくれさえすればいいのだ。将来も、僕の会社で働いてくれればけっこうだが、君が気に入らない場合はいつどこへ行ってくれてもいいんだよ。」

今井は、いかにも物のわかったような顔をしていった。

「いいえ。どういたしまして。」

村川は、少しくすぐったい気がしながら答えた。

車は、尾張町を過ぎ、歌舞伎座の前を通って、築地へ入って、二三町進むと、右側の家の前に止まった。

そこは、地震後浜町から築地へ越して来た有名な日本料理の家だった。

門から玄関までが、長く狭い敲土の道になっていた。