Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
と、いきなり彼女は、身を燕のようにひるがえすと、左手の壁にやや高く掲げてあるルソーの影響を受けたらしい明るい色の油絵の額面に手をふれた。
「あああったわ。あったわ。これこんなに。」
彼女は、額面の後から、ふくれ上った女用の西洋封筒を幾つも、次々に取り出した。
「まだあるわ。幾つでもあるわ。」
倭文子の顔の色は、みるみる土色にかわった。彼女は、京子や油絵や机や書棚がくるくる廻り出しそうな感じがした。彼女は、両足に力がなくなり危く倒れようとするのを、壁に身をよせかけることでやっとこらえていた。
「倭文子さん。これ一つ一つ見ましょうね。随分あるわ。ちょうど五つあるわ。」
「いいえ。わたし、失礼しますわ。」
彼女は低いけれども、必死な声でそういうと、ドアをあけて外へ出た。そして階段をころげるように駆け降りた。
「倭文子さん、お待ちなさい。ひどいわ。わたしをおいてけぼりにして。」
京子は後からよびかけた。だが倭文子は後をふりむこうともしなかった。
倭文子の足音が聞えなくなると、京子は急に笑い出した。彼女は、雀躍りするように、からだを動かしながら笑った。ヒステリックに、いつまでも笑いつづけた。