Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

一時間も泣きつづけても、胸の苦しみはちっともとれなかった。彼女は、机の上に落ちた涙を指につけて、いたずら書きを始めた。それが、みんな悲しい字になった。ふと村……とかきかけても、どうしてもその後がかけなかった。もう、彼の名前をかくことさえが、恐ろしい苦痛だった。

色魔! 彼女は、机の上にそうかいた。だが、それが恐ろしかったので、すぐ消した。だが彼女の心にかかれていた愛の肖像は、もう真二つにひきさかれていた。心が、純であればあるほど、極端な信頼から極端な疑惑へ、一またぎにしてしまうのだった。

彼女は、もう一度村川に会って、自分の口でたしかめようかと思った。だが、ふみにじられた彼女の心には、もうそんな勇気がなかった。もう一つ念のために、こよい十時に村川と一枝とが、会うかどうかたしかめたいと思ったが、彼女にはそんな恐ろしいことは出来なかった。ただふみにじられたならば、ふみにじられたまま、じっとあきらめることが、彼女に一番ふさわしいことだった。

晩のご飯には、彼女は箸を取っただけで、ご飯はちっとも咽喉を通らなかった。美智子が来て、新しいレコードをかけるから、いらっしゃいと誘ってくれたが行かなかった。