Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ、少ししましょうかしら。」

「カバンでも、バスケットでもあるわ。女中に持ってこさせるわ。」

京子は、立ち上って倭文子の机の傍までゆくと、そこにあった呼鈴のベルを押した。

廊下に足音が聞えて女中が来た。

「お母さまにね、倭文子さまも一緒にいらっしゃるから、小さいカバンを出して下さいって。お居間の右側の押入の上にある方を出して下さいって。」

女中が、

「かしこまりました。」

といって去ろうとすると、京子はふと思いついたように呼び止めた。

「あの一枝帰って来た?」

「いいえ、まだでございます!」

「そう。」

「探してまいりましょうか。」

「いいの。」

「もし帰ったら、わたしのお部屋へよこしてね。」

「はい!」

女中は去った。京子も立ち上った。

「じゃ倭文子さん、あしたね。お休みなさいね。グッドナイト! グッドスリープ。早く起きなければならないのですから、早くお休みなさいね。」

倭文子は京子の足音がきえると「わーっ」と、かけぶとんの上へ泣き倒れた。泣いても泣いても彼女の悲しみは、少しもうすらがなかった。

八

村川は、家へ帰って部屋に入ると、かぶっていた中折を、左手の帽子掛にめがけて投げつけた。