Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
四阿の近くへ来ると、村川はからだも心も、不安と喜びとでふるえた。彼は、倭文子が先へ来ていやしないかと、遠くからたしかめようとした。だが、四阿の中は、暗かった。彼は、闇の中に目をみはりながら一歩一歩近づいた。若い楓の樹の下をくぐると、もう四阿は目の前にあった。
彼は、その時四阿の中に、ハッキリと人影をみとめたので、うれしさのために、あやうく声を出すところであった。
彼は歓びにあえぎながら、かけつけた。だが、先夜の失敗があるので、いきなり中へ駆け込まずに、一間くらい手前のところで、一度立ちどまった。
すると、村川の姿をみとめた中の人影はあきらかに狼狽したらしく立ち上った。彼はそれが倭文子ほど、背の高くないのに気がつくと、驚愕と失望とで立ちすくんでしまった。
「まあ、村川さんですか。」
相手は小間使の一枝であった。
「君か。何だ。」
村川は、絶望して叫んだ。
「君は、何だって今頃こんな所にいるのだ。」
「あの、ちょっと考えごとしていましたの。」
「そうか。」
村川は、このかわいい小娘に対して、烈しいにくしみを感じたが、それかといって、今の場合どうすることも出来なかった。