Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、羞いながらも、彼の闖入を許している微笑だった。彼の闖入というよりも、彼自身を許している微笑だった。彼が、心から彼女に愛をささやいたならば、きっと許すに違いないことを約束している微笑だった。

倭文子のよそよそしい態度は、結局それが彼女の心にもない擬態で、その擬態の一皮下には彼に対する好意のある微笑が用意されていることを忘れることは出来なかった。ただカーテンの陰におけるが如く、二人きりになれさえすればよいのだ。彼はそう信じていた。

それから、二三日したある朝、彼は書斎へ行って、椅子に腰をかけると、何だかいつもと、感じが違っているので、立ち上って調べてみると、真紅なレースで編んだクッションが、いつのまにか置かれているのである。

あの倭文子の微笑が、今度はクッションの形で横たわっているのだと思うと、村川は限りなく幸福だった。

それにしては、どうして彼女は自分を避けるのであろう。それが、村川にとっては、不思議でならなかった。

その夜のことである。初夏の月が、あまりによく澄んでいるので、彼は書斎から庭へ出て見る気になった。もう十時過ぎていた。宵寝の習慣を持っている川辺家の人々は、皆寝しずまって、月のみが、樹木の多い庭園を昼のように照していた。