Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「ナニ?」と意次は驚いたようにいった。「お浦を差し出す? ではお浦を?」
「数日前にあるところで……」こういって来て貝十郎は、チラリと背後を振り返って見た。九十郎がそのとたんに、ヒヤリとしたように首を縮めた。「とらえましてござります」
「そうかそうか、それはよくした。……では至急そのお浦を……」
「実はすでにこのお屋敷へ――このようなこともあろうかと存じ、召し連れ参りましてござります」
「それはそれは、素早いことだの。いやいかにもその方らしい。ではすぐにも差し出すがよかろう。……上様にもお気の毒じゃからの」
(今夜ばかりの命なのだ)ふと意次はこのことを思った。(満足させてやったがいい)
番頭からお側衆、やがて知行も万石とされ、お側ご用人から宿老にされ、侍従に進められ連署の衆にされ、とうとう今日の位置とされ、知行も五万七千石とされた。
(随分あの男には引き立てられたものさ)
こんなことも考えられた。
(満足させてやったがいい)
廊下が左右に枝を出してい、その交叉点が行く手にあったが、この時そこへ左の方から、安宅の弁慶の仮装をした男が、金剛杖をついて現われ、立ち止まってこっちをじっと見た。