Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「では昨夜隅田堤で……」
「勘定奉行の松本伊豆守から、田沼へ送った進物駕籠を奪った、悪戯者はこのわしじゃよ。わしと三人の相棒じゃよ」
「…………」
「ところがそういう悪戯をしたのは、決して今度がはじめてではないのだ。この一月の十五日にも、同じ松本伊豆守から、田沼へ送った献上箱と、『ままごと』とを途中に要し、奪ってやろうと企てたものだが、これはお前も名ぐらい知っていよう、十二神貝十郎という風変わりの与力に、妙なふうに邪魔をされて、半分がところしくじってしまった」
「田沼様への進物駕籠、何者の大胆が奪ったかと、不審しく存じておりましたが、それがあなた様と承りまして胸に落ちましてござります」
熊太郎は微笑し意味深くいった。
松平冬次郎とはいかなる人物か? 上州館林六万余石、そこの城主たる松平家へ、水戸家よりはいって家を継ぎ、幕府に仕うること五十余年、執政の期三十年、しかも生涯辞退に辞退し、禄を増すことわずか七千石、忠正にして甚だ謹謙、ために将軍家敬し憚り「西丸の爺」と称して名を呼ばず、安永八年七月二十五日、六十七歳をもって世を終るまで、さすがの田沼意次さえ、驥足を延ばすことが出来なかったところの、身分は遠い徳川の連枝の、松平右近将監武元卿の、妾腹ながらも実子なのであって、水戸家の血統を引いているだけに、尊王の念きわめて