Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
しかしはたして今の娘が、女勘助に相違ないだろうか?
改めて貝十郎は娘を見た。
が、もうその時にはその娘の姿は、群衆にまぎれて見えなくなっていた。
全く恐ろしいような群衆であった。
どの小路からもどの露路からも、老人や若者や女や男や、子供までがもの怖じしたような、不安に堪えないような表情をして、表通りへ出て来るかと思えば、表通りから小路や露路へ、追われるように駈け込んで行った。田舎の親戚や他領の知人や、そういう安全の人々のところへ、避難するらしい人もあれば、この町の親戚や知人を案じて、他の町から入り込んで来たらしい、そういう様子の人もあった。そういう群衆を分けながら、藩士が血眼で往きつ来つし、伝令らしい様子の武士が、城の方へ走っても行った。何がなしに人々は叫んでいた。
「車塚が一揆の本陣だということだ!」
「鳳来川を渡られたら、このお城下は一揉みだ!」
こんなような声も聞こえて来た。
(車塚の方へ行って見よう)
貝十郎はそう思った。
冬次郎様の一団が、この城下へ来ている以上、是非ともお浦を一刻も早く、探し出して手に入れなければ、容易ならないことになる。