Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

……それに今日は汝を挙げようと、貝十郎出張って来たのではない。……九十郎に用あってやって参ったのじゃ」

さよう、まさにその通りであった。

あの夜あれほどの騒動があった。怪我人も出で、死人も出た。本来なれば町奉行は、南北手を分け騒動の首魁と、兇徒を探して狩り取るべきであったが、事件の性質が性質であり、首魁が一方は田沼主殿頭、一方が松平冬次郎。――これではどうにも手が出せなかった。のみならず素早く田沼の方からは、それとなくしかし厳重に、手入れ無用との命もあった。で、揉み潰されてしまったのである。そう、たしかに揉み潰された。が、世間では揉み潰さなかった。その結果がこの頃流行の、落首となって壁や塀に、田沼の横暴と世相の乱脈とが、深刻に穿って書かれ貼られた。その取り締りに貝十郎は、こうして出かけて来たのであったが、田沼殿の用人三浦作左衛門に聞けば、事件の当の責任者ともいうべき、平戸九十郎があの夜以来、田沼殿のお屋敷へ参らぬとのこと。「不都合な」と貝十郎は思った。「いずれ自堕落の彼であるから、妾の家にでもいるのであろう。叱咤してお屋敷へ追い立ててやろう」――そこは松平冬次郎の、隠れ家をさえ知っていた彼、九十郎の妾宅も知っていたので、今、こうしてやって来たまでなのであった。