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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

四

「深夜におよび、これは狼藉者が乱入いたしたる故、斬り捨てましたる次第……」

という左膳の申し立てだから、役人たちはおどろいて、

「乞食小屋へ強盗がはいるとは、イヤハヤ……」

「下には下があるものでござるて」

と言いかけたやつは、左膳の一眼に、ジロリにらまれて、だまってしまった。

とにかく、押込みだというので死体はそのままおとりすて……風間兵太郎らは、いい面の皮です。

内々は、伊賀の連中ということがわかっていますから、林念寺前の柳生の上屋敷へ、そっと照会があったんですが、そんな、いっぽん腕の浪人者に斬り殺されるような者が、一人ならず、ふたり、三人、剣が生命の同藩から出たとあっては、柳生一刀流の面目まるつぶれですから、高大之進が応対して、さようなものは存ぜぬ。柳生の藩中と称しておったとすれば、とんでもない偽者でござるから、かってに御処置あるよう――立派に言いきってしまった。

が、とり捨てになった死骸は、ひそかに一同が引き取って、手厚く葬ってやったんです。

そして、もうこれで壺のありかはわかったし、すでに犠牲者も出たことであるから、一日も早く、一段と力をあわせて壺を奪還せねば――と誓いを新たにして、ふるい立った。