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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

二

「ほかに、どういう筋から壺をねらっておるのかな?」

「本郷の道場の峰丹波、および、お蓮と申す若後家の一派と――それよりも、何者かこの壺をにぎって、離さぬものがありますので……日光御造営の日は刻々近づいてまいりますし、伊賀の奴ばらは気が気でないらしく、これは大きな騒ぎになって、お膝もとを乱さねばよいがと――」

「その金がのうては、伊賀も日光にさしつかえて、柳生藩そのものが自滅しても追いつかぬであろう。名家のあとを絶やすのは、余の本意ではない」

お縁の天井を仰いで、長大息した吉宗のことばに、愚楽老人は、わが意を得たりといったふうに、にやりと微笑し、

「すると、私の手において別働隊を組織し、柳生に加勢して、壺を奪還いたしますかな?」

二

爪は切り終わっていました。

八代様は、静かに立って居間へはいりながら、

「しかし、柳生のために壺を取ってやるもよいが、日光じゃとて、それほどの大金は必要あるまい。貧藩を急に富まして、その莫大な金を蔵せしめておくは、これまた不穏の因であろう」

そそくさと羽織を引きずって二、三歩、後を慕った愚楽、ふたたびそこへ平伏するとともに、

「さあ、そこでござりまする。