轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
六
ふたたび、師範代玄心斎の言葉に、
「なにか手違いでもあったのでは……」
と、あたりを見まわした大八、大声に、
「ヤヤッ! おらん! 門之丞がおらんぞ、門之丞が!」
六
最初、源三郎の一行が、江戸入りをして品川へ着いた夜、命を奉じて一人駈け抜けて、妻恋坂の道場へ到着の挨拶に走ったのが、この門之丞でした。あの時、彼は、司馬家の重役が来て相当の応対をするどころか、伊賀の柳生源三郎など、そんな者は知らぬと、玄関番が剣もほろろに追いかえしたと火のように激昂して品川の本陣へ立ち帰り、復命したものだったが……。
その後も。
何かにつけ門之丞は、源三郎の身辺近く仕えて、あの、不知火銭をつかんで源三郎が、故先生の御焼香の席へ、押し通ったときも、かれ門之丞、大きな一役をつとめたし、じっさい玄心斎老人、谷大八とともに、源三郎側近の三羽烏だったのに――。
イヤ、人の心ほど、当てにならないものはありません。
恋が思案のほかなら、人のこころも思案のほかです。コロコロコロロと、しょっちゅうころがっているから、それでこころというのだなんて、昔の心学の先生などが、横山町の質屋の路地奥なんかに居をかまえて、オホン! とばかり、熊さん八あんや、道楽者の若旦那相手に説いたものですが、まったくそうかもしれません。