轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

三

三

その時まで黙っていた丹下左膳、きっと左眼を光らせて二人を見くらべながら、

「ようし。おもしれえ。大岡越前じゃアねえが」

と苦笑して、

「おれが一つ裁いてやろうか」

「小父ちゃん、そうしておくれよ」

「殿様、あっしから願いやす。その御眼力をもちまして、どっちがうそをついてるか、見やぶっていただきやしょう。こんないけずうずうしい餓鬼ア、見たことも聞いたこともねえ」

「こっちで言うこったい」

「まア、待て」

と左膳、青くなっている与吉から、チョビ安へ眼を移して、にっこりし、

「小僧、汝ア置き引きを働くのか」

置き引きというのは、置いてある荷をさらって逃げることだ。

これを聞くと、与吉は、膝を打って乗りだした。

「サ! どうだ。ただいまの御一言、ピタリ適中じゃアねえか。ところてん小僧の突き出し野郎め! さあ壺をこっちに、渡した、わたした!」

チョビ安は、しょげ返ったようすで、

「しょうがねえなあ。乞食のお侍さん、どうしてそれがわかるの?」

「なんでもいいや。早く其壺を出さねえか」

と、腕を伸ばして、ひったくりにかかる与吉の手を、左膳は、手のない右の袖で、フワリと払った。