轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
上様お風呂
このたび、源三郎婿入りの引出ものに、途中もずっとこの茶壺一つだけ駕籠に乗せて、大大名の格式でおおぜいで警護してきたのだ。
そのこけ猿の茶壺が、江戸を眼のまえにしたこの品川の泊りで、司馬道場の隠密つづみの与吉に、みごと盗みだされたのだった。
肩をいからした柳生の弟子ども、口々にわめきながら、水も洩らさじと品川の町ぜんたいを右往左往する。首を送りこむ役は、門之丞にくだって、手紙をくわえた女の生首は、油紙にくるんで柳生の定紋うった面箱におさめられ、ただちに夜道をかけて妻恋坂へとどけられた。挑戦の火ぶたは、きられたのです。
宿役人の杞憂は、現実となった。春は御殿山のさくら。秋は、あれ見やしゃんせ海晏寺のもみじ……江戸の咽喉しながわに、この真夜中、ときならぬ提灯の灯が点々と飛んで、さながら、夏は蛍の名所といいたい景色――。
上様お風呂
槙の湯船の香が、プンとにおう。この風呂桶は、毎日あたらしいのと換えたもので……。
八畳の高麗縁につづいて、八畳のお板の間、壁いっぱいに平蒔絵をほどこした、お湯殿である。千代田のお城の奥ふかく、いま、八代吉宗公がお風呂を召していらっしゃる。