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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

四

チョビ安に持たせておくのは不安だから――で、左膳が、

「まだ来る気かっ、性懲りもねえ」

うめきざま、不自由な身で、刀を口に銜えながら、左わきの下の壺を左手に持ちかえて足もとへおこうとした刹那、ドッと襲いかかる足の下をくぐったチョビ安、逃げる気で、いきなり駈けだしたんです。

「そら、小僧を……」

誰かがさけぶ声がした。一同は左膳を捨ててチョビ安を追いにかかったが、こま鼠のようなチョビ安、白刃の下をでるが早いか、駒形の通りをまっすぐにとんで、ふいっと横町へきれこんだ。

四

「馬鹿ア見やしたよ」

藍微塵の素袷で……そのはだけたふところから、腹にまいたさらし木綿をのぞかせ、算盤絞りの白木綿の三尺から、スイと、煙草入れをぬきとった。

つづみの与吉はあぐらをかいている。

「それでさ、あるやつの小屋から、あるチョビ助のあとをつけてネ、その行った先を見とどけたと思ってくだせえ。目ざす品物が、チャンとそこへ納まったと見てとったから、一番金になるほうへ、そっと売りこんでやったのさ。そこまでアいったが姐御、先方が、いきおいこんで踏みこんでみるてえと、外見はそのねらっていた品物でも、中は石ころじゃアねえか。