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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

四

稽古襦袢に袴の腿立ちとった一同、頓みには入りかね、手に手に抜刀をひっさげて、敷居のそとに立ちすくんでいる。

シイーンと静まり返った中から、やがて、伊賀の暴れン坊のふくみ笑いが……。

「ママ待ちかねておったゾ。ようこそ。サ、サ、ズッとこれへお通りめされ――」

四

むやみに飛びこんでは、身体を入れた瞬間に、真上からか、横からか、源三郎の豪刀が伸びてくるにきまっている。

こうなると、室外の連中、呼吸をはかって竦みあうばかりで、いつかな埓があかない。

こうした場合の常識……誰かが刀の斬っさきに羽織をひっかけてツイと、部屋の中へ投げこんだ。

が、児戯――。

気がうわずっていれば、これに釣られて羽織へ刀を振りおろす。その動きのすきをねらって、一団となっておどりこもうという寸法なんですが、ドッコイ、そんな月並みな手に乗る源三郎じゃアありません。

ウフフフフフ……と、ふすまのかげから、源三郎の低い笑い。

「よせ、よせッ。こどもだましは!」

声とともに、忍んでいる源三郎の手もとあたりに、ピカッ! ピカッ! と光のざわめくのが一同の眼を射るのは、明鏡のように磨ぎすました刀に、うす暗い燭台の灯が、映ろうのらしい。