轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
四
じぶんの鉢に入れられた金魚が、無事におよぎ出した者は、ホッと安心のてい。
愚楽老人の柄杓が、上座から順に、鉢に一ぴきずつ金魚をうつしてきて、いま、半ばを過ぎた一人のまえの鉢へ、一匹すくい入れると、
「やっ! 死んだっ! 当たったっ……!」
と口々に叫びが起こった。この鉢に限って、金魚が死んだのだ。どの金魚も、すぐ、いきおいよくおよぎ出すのに、これだけは、ちりちりと円くなって、たちまち浮かんでしまった。
「おう、柳生どのじゃ。伊賀侯じゃ」
その鉢を前にして、柳生藩江戸家老、田丸主水正、蒼白な顔で、ふるえだした。
四
シンとした大広間で、一座が、じっと見守っていると、愚楽老人の柄杓で手桶から、柳生対馬守の代理、江戸家老、田丸主水正のまえにおかれたギヤマン鉢へ、一ぴきすくい入れられた金魚が、こいつに限って、即座に色を変えて死んでしまったから、サア、御前をもかえりみず、一同、ガヤガヤという騒ぎ……。
「ヤ! 金魚が浮かんだ。金魚籤が、当たった!」
「来年の日光お手入れは柳生どのときまった!」
「伊賀の柳生は、二万三千石の小禄――これはチト重荷じゃのう」
いならぶ裃の肩さきが、左右に触れ合って、野分のすすきのよう……ザワザワと揺れうごく。