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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

相模大進坊濡れ燕(発端篇)

娘島田もガックリ垂れて、小さな胸にあまる大きな思案。

罪ですネ、源ちゃんは。

相模大進坊濡れ燕(発端篇)

せっかく盗みだしたこけ猿の壺を、チョビ安てえ余計者がとびだしたばっかりに、丹下左膳という化け物ざむらいにおさえられてしまった鼓の与吉。

なんといって、妻恋坂の峰丹波様に言いわけしたらいいか。

いつまで黙ってるわけにもいかないから、ことによったら、この首はないものと、おっかなびっくりの身には、軽い裏木戸も鉄の扉の心地……与吉のやつ、司馬道場へやって来た。

とたんに。

出あい頭に会った若い植木屋を、一眼見るより与の公、イヤおどろいたのなんのって、あたまの素ッてんぺんから、汽笛みたいな音をあげましたね。

「うわアッ! あなた様は、や、柳生の、げん、げん、源三郎さまッ!――」

こいつあ驚かずにはいられない。これから起こった、あの深夜の乱陣です。与吉の口から、柳生源三郎とわかった以上、もはや捨ててはおけない。峰丹波、今宵ここで、伊賀の暴れン坊に斬られて死ぬ気で、立ち向かいました。

「源三郎どの、斬られにまいりました」

「まあ、ソ、ソ、そう早くから、あきらめるにもおよぶまい」