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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

一、堀口但馬守様――七つ。

一、井上大膳亮殿――四つ。ならびに扇子箱。

一、山脇播磨守どの――三つ半。砂糖菓子。

一、宇都木図書頭さま――六つ。

一、岡本能登守様――八つ。

なんて調子に、記入方がひかえていく。その、横綴じの長い帳面の表には「発願奇特帳」とある。みんな日光に一役持ちたいと、口だけは奇特な発願をたてて、表面どこまでも、そのための献金なんですから。

「ホホウ、八つというのが出たナ。はじめてだな」

主水正は、うれしそうです。

「いえ、四、五日前にきた赤穂の森越中様のが、やはり八つでした」

「じっさい、三つや四つで日光下役を逃げようてエのは、虫がよすぎるからなア」

と、主水正、だんだん下卑たことを言いだす。

「しかし、これだけ賄賂があつまれば、当藩はだいぶ助かる。では、一番けちな別所信濃へ、畳奉行をおとしてやるとしようか」

九

発願奇特帳……皮肉な名前の帳面が、あったもんです。

先方が願を立てて、奇特な申し出をしてくる。そのなかで、もっとも進物のたかのすくないやつに、ねがいどおり望みをかなえてやる――。

「ところで、お作事目付は、誰にもっていったものかな」

と、主水正、その発願奇特帳をペラペラとめくりながら、