轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

流れ星

一

左膳のわらいは、血をなめた者の真っ赤な哄笑であった。

不知火の一同、思わずギョッとして、とり巻く輪が、ひろがった。

流れ星

一

庭には斬合いが……と聞いても、萩乃は、なんの恐怖も、興味も、動かさなかった。

剣客のむすめだけに、剣のひびきに胆をひやさぬのは、当然にしても、じつは萩乃、この数日なにを見ても、何を聞いても、こころここにないありさまなのだった。

屋敷中に、パッと明るく灯が輝いて、婢たちの駈けまわるあわただしい音、よびあう声々――遠く裏庭のほうにあたっては、多人数のあし音、掛け声が乱れ飛んで、たいがいの者なら、ゾクッと頸すじの寒くなる生血の気はいが、感じられる。

にもかかわらず、派手な寝まきすがたの萩乃は、この大騒動をわれ関せず焉と、ぼんやり床のうえにすわって、もの思いにふけっているのだ。

ぼんぼりの光が、水いろ紗の蚊帳を淡く照らして、焚きしめた香のかおりもほのかに、夢のような彼女の寝間だ。

ほっと、かすかな溜息が、萩乃の口を逃げる。

恋という字を、彼女は、膝に書いてみた。そして、ぽっとひとりで桜いろに染まった。

あの植木屋の面影が、この日ごろ、鳩のような萩乃の胸を、ひとときも去らないのである。