轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

04 火の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页

青空文庫

七

「もう、もう。酒はいやだ」

と遂にかぶとを脱いで、

「帰ろう」

いい出すと、

「晩までつきあい給え」

と、八十馬はうごかない。

「晩までつきあったらどうするんだ」

「今夜、薄田兼相のやしきへ行って兼相と会う約束がしてあるんだ。今から出ても時刻が半端だし……。それに、そうだ、貴公の望みももっとよく聞いて置かなければ、先へ行って話もできない」

「禄など、初めからそう望んでも無理だろう」

「いかん、自分からそんな安目を売ってはいかん。とにかく中条流の印可を持って、佐々木小次郎ともいわれる侍が、禄はいくらでもいいから、ただ仕官がしたいなどといったら、かえって先から蔑まれるぞ。――五百石もくれといっておこうか、自信のある侍ほど手当や待遇なども大きく出るのが通例だからな、やせ我慢などせぬがいいのだ」

七

谷間の壁を見上げるように、この辺はもう早い日蔭になっている。大坂城の巨大な影が夕空をおおっているからである。

「あれが、薄田の邸だぞ」

濠の水に背を向けて、二人は寒そうに佇んだ。昼間から注ぎこんでいた酒も、この濠端に立つとひとたまりもなく吹き飛んで、鼻の先に水洟が凍りつく。