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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
すると、梟の啼き声がした。
「ホー、ホー」と寂しい声で。と、その梟の啼き声はいわゆる人工のものであって、それを合図に岩木の陰からムラムラと人影が蠢めき出た。
右衛門はとたんに足を止め四辺をグルリと見廻わした。「はてな。どうやら人気がするぞ」――呟きながら腕を組み、しばらくじっと考え込んだ。それを見た岩木の陰にいる幾十人かの人影は音もなくスッと姿をかくす。
「疑心暗鬼という奴だろう。俺より他にこんな所に今夜あたり誰が来るものか」
右衛門は自分で自分を笑いヒタヒタと絶壁の方へ歩いて行った。すると木陰や岩陲からは例の人影が現われ出でその後を静かに追って行く。
右衛門は大岩を曲がりかけた。その岩の陰にも人影あってパッと右衛門に飛びかかった。
「怨みを受ける俺ではない! 人違いをするな右衛門じゃ!」
右衛門は叱るようにこう叫んだがグイとその男をもぎ放した。息もつかせず左右から四人一度に飛びかかった。ハッと驚いた右衛門はひらりと大岩の上へ飛び上がりそこから下を見下ろした。得物を持った人影がグルリと岩を取り巻いて五十人余りも集まっている。
「さては紋十郎めに計られたか」