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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
これはまことに奇怪なことで、こういう点から云う時は、この「麗人族」は日本人ではなく、小亜細亜辺の古代民族が、何かの理由で漂流して来て、この日本の駒ヶ岳に、隠れ住んでいたものと見なさなければならない。
まず彼らの市街たるや、城壁によって囲まれていた。一里四方の城壁で、漆喰と煉瓦と瀝青とをもって、堅固に造られているのである。高さおおかた五十尺、その厚さに至っては十人の男が肩を並べて自由に歩けるほどであった。
城壁の四方には大小の門が大略四十造られてあったが、門の扉は真鍮であり、飾りに置かれた石像が獅子であるという点から見ても、いよいよ小亜細亜辺の民族が、移住したものと想像される。
城壁の上には櫓があった。二町ごとに造られているので、城壁四面総体から云えば、七十二の櫓がある訳である。
櫓は平時は物見台であった。そうして戦時には弓手が籠り、差し詰め引き詰め矢を飛ばすのであった。平時といえども櫓にはいつも武人が籠っていた。
以上は外壁の構造であるが、さらにもう一つ内壁があった。真鍮の門扉、弓手櫓……外壁と同じ構造であった。
二重の城壁に囲繞された、「麗人族」