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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

供命鳥

一

が、しかし。

あれが音に聞く柳生源三郎か、あのものすごい腕前!――と自分だけは知っている峰丹波の怖れと、苦しみは、絶大なものであった。

道場を横領するには、お蓮様と組んで、あれを向うにまわさねばならぬ。つぎは、どうやってあらわれてくるであろうかと、丹波、やすきこころもない。

それから、源三郎のもう一つの疑問は、あの枯れ松のような片腕のつかい手は、そもそも何ものであろうか?……ということ。

自分が一目も二目もおかねばならぬ達人が、この世に存在するということを、源三郎、はじめて知ったのです。

峰丹波には、この剣腕を充分に見せて、おどかすだけおどかしてある。もう、正々堂々と乗り込むに限る! と源三郎、

「供ッ!」

と叫んで、本陣の玄関へ立ち出でた。黒紋つきにあられ小紋の裃、つづく安積玄心斎、脇本門之丞、谷大八等……みんな同じ装りで、正式の婿入り行列、にわかのお立ちです。

供命鳥

一

「エ、コウ、剣術大名の葬式だけに、豪気なもんじゃアねえか」

「そうよなあ。これだけの人間が、不知火銭をもれえに出てるんだからなあ」

「おう、吉や、その、てめえ今いった、不知火銭たあなんでえ」