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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
三
「うるさいねえ」
というのがお蓮様の一点張り。
「いったいいかがなされるおつもりで。斬り捨てることはできず、さりとて、このまま傍若無人に――」
「フン、源三郎様に刀を向けたりすると、このあたしが承知しませんよ」
ふとお蓮さまは、思わずほんとの心が口に出たのに、自らおどろいたようすで、とっさに笑い消し、
「むかったって、かないっこないくせに――ほほほほ、まあ、あわてないで、あたしにまかせてお置きよ」
源三郎という名を口にする時の、お蓮様のうっとりした顔つきに、峰丹波は心配そうに、
「拙者らの手に負えぬ者を、あなたがいったい、どうなさろうというので――」
「うるさいねえ。男と女の間は、男と男のあいだとは、また違ったものさね。それにどうやら、あの源三郎は、このあたしなら、なんとかあやつれそうだからね。うるさいね。だまって見ておいでよ」
すんなりしたお蓮様の姿が、もう、築山をまわって歩き出していた。
三
「お嬢様、あの、萩乃様……」
侍女の声に、萩乃は、むすめ島田の重い首を、突っぷしていた経机からあげて、
「何よ、うるさいねえ」
「いえ、お嬢さま、毎度同じことをお耳に入れて恐れ入りますけれど、そうやって毎日とじこもって、ふさぎこんでばかりいらしっては、いまにお身体にさわりはしないかとお次の者一同、こんなに御心配申しあげているので