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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

老先生のお墓の土が、まだかわきもせぬうちに、娘御の婿となっております拙者に、さようなけがらわしいことをおっしゃるなどとは、プッ! 見下げ果てた……」

源三郎、懐中の右手がおどり出て、左の腰際へ走ったのは、いつものくせで、刀の柄に、手をかける心。

無刀なのを、瞬間忘れたほどの怒りでした。

「先生にかわって御成敗いたすところだが、まずまず堪忍……丹波とはちがい、さような手に乗る源三郎ではござらぬ」

お蓮様は、壁にはりついて、あっけにとられた顔で、源三郎をみつめている。

それは、言い知れない驚愕の表情であった。この自分の媚びを手もなくしりぞける男が、この世に一人でもあることを発見したおどろき。

自信をきずつけられた憤りに、お蓮様は、総身をふるわせて、

「よろしい。よくも私に、恥をかかせてくれましたね。それならば今までどおり、どこまでも戦い抜きましょう。お前はあくまでも萩乃の婿のつもり……だが、こちらでは、無態な田舎侍が、なんのゆかりもないのに押しこんで、動かぬものと見ますぞ。また根較べのやり直し――それもおもしろかろう、ホホホホホおぼえておいで」

きっと言いきったお蓮様が、源三郎をのこして、足ばやに立ち去ろうとした時、