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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

二

「だまれ。だまれ、汝のところに、こけ猿の茶壺のまいっておることは、かの、チョビ安とやら申す小僧のあとをつけた者があって、たしかに木箱を持ってここへはいるところを見届けたのだ。当方には、ちゃんとわかっておるのだぞ」

二

あの日、左膳のもとから壺を運んで来たチョビ安を、ここまで尾行して来た者があったと見えて――。

そいつは、言わずと知れた、れいのつづみの与吉にきまっているのだがサテ、その与の公の知らせをうけて、こうしてきょう乗りこんで来たこの四人は?

林念寺前の柳生の上屋敷に陣取っている、高大之進一派の者か?

それとも、源三郎とともに本郷の道場にいすわっている、同じ柳生の、安積玄心斎の手の内か?

あるいは……。

その道場の陰謀組、峰丹波の腹心か。

ことによると――愚楽老人が八代公との相談から、そっと大岡様へ耳こすりした、その方面から来た侍か……?

こうなると、さっぱりわかりません。

だいたい、あのつづみの与吉なる兄さんは、あっちへべったり、こっちへベッタリ、その場その場の風向きで、得になるほうにつくのだから、はたして誰がこの与吉の報告を買いこんで、壺の木箱がここにきていることを知り出したのか、そいつはちょっと見当がつかない。