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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

二

払っても、抗っても、すがりよってくる黒法師のむれに、二人はまさに、おいつめられた形で。

左膳、こうして壺を大道の真ん中に置かせ、それをガッシと片あし掛けて、チョビ安を後ろにかばい、ここにしいた背水の陣だ。

この機会を逃がしては……と!

気負いたった伊賀勢、一人が駈けぬけて、真ッ向から左膳に激突するつもり!

だが一人ふたりの相手よりも、大勢を向うにまわしてこそ、刃妖の刃妖たるところを発揮する丹下左膳。

ニヤリと、笑った。

「安っ! 離れるなよっ」

左足を一歩引いて空を打たせ、敵の崩れるところを踏みこんで、剣尖からおろす唐竹割り、剣法でいう抜き面の一手です――左膳の体勢は、すこしもゆるがず、つぎの瞬間、また水のごとき静けさに返っています。

二

江戸のこどもの遊びに、「子を取ろ子とろ」というのがあった。これは明治のころまでありました。子供が多勢、帯につかまって一列になり、鬼になった子が前へ出てその列の最後の子をつかまえようとする。

「子を取ろ子とろ」

と、鬼になった子がさけぶ。

すると、一列縦隊のこどもたちが、一番おしまいの子を守りながら、

「さあ、取ってみなさいな」