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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

丹波は、急の暴風雨に備える雨戸を、十内、達之助の二人にまかせてしめさせながら、自分は座にかえり、

「とにかく、門之丞をこっちへ抱きこんだのは大成功で……悪運がつきません証拠とみえますな、はははは」

お蓮様はおもしろくもなさそうに、

「でも、なんとかうまいことを言って釣りだしてくればいいけれど――あの門之丞だって、主人を裏切るような男だもの。ほんとにこっちについたのかどうか、すっかり仕事がすんでみなけりゃアわかりゃあしない。お前のように、そう頭から信用することもできないと思うよ」

「ナニ、あの門之丞だけは、大丈夫です。計画どおり、彼の手引きで源三郎を処分した暁は、大枚の金子とともに、あの萩乃様を……こういう約束でございますからな。萩乃様に首ったけの門之丞としては、色と欲の二筋道で――もうこっちのものです」

達之助と十内が、雨戸のあいだをすかして、別の間へしりぞいてゆく。どうせみんな同じ穴の狐ですから、二人に聞こえるのもかまわず、お蓮様と峰丹波は、高話です。閉てのこした雨戸のすきから、縞のような光線がさしこむだけで、昼ながら、室内はうすぐらい。

ここは司馬家の寮なのですが、故先生が老病になられてから、何年も来たこともなく、手入れもしないので、それこそ、狐や狸の巣のように荒れはてている。