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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
二
オオ、いやなこった! と萩乃は、想像の源三郎の面ざしと、この男の顔と、どっちも見まいとするように眼をつぶって、
「無礼な無駄口をたたくと、容赦しませぬぞ。ここは、お前たちのくるところではありませぬ。おさがり!」
「へへへへへ、なんかと、その御立腹になったところの風情がまた、なんとも――」
「萩乃さん、萩乃さんはそこかえ」
声を先立てて、継母のお蓮さまが、はいってきた。例によって、大男の峰丹波をしたがえて。
「源三郎様は、まだお越しがないねえ……オヤ、この者は、なんです。これ、お前は植木屋ではないか。まあどうしてこんなところへはいりこんで、なんてずうずうしい!――丹波っ、追っぱらっておしまい!」
二
司馬の道場をここまで持ってきたのは、むろん、老先生の剣と人物によることながら、ひとつには、この膂力と才智のすぐれた峰丹波というものがあったからで。
妻恋坂の大黒柱、峰丹波、先生の恩を仇でかえそうというのか、このごろ、しきりにお蓮さまをけしかけて、源三郎排斥の急先鋒、黒幕となっているのだ。
まさか変なことはあるまいが、それも、相手が強か者のお蓮様だから、ふたりの仲は、案外すすんでいるのかも知れない……などと、屋敷うちでは、眼ひき袖引きする者もあるくらい。