轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
これは、したいほうだいのことをするというのとは、だいぶ違う。
してはいけないことは、常に、決してしたくない人にして、はじめてこういうことができるのです。してはいけないことをしたくないのが道徳で、していいことをするのが自由だ。
泰軒先生は、これが完全に一致している。さぞサバサバした心境でありましょう。
一升徳利を枕に、いつも巷に昼寝する蒲生泰軒、その海草のような胸毛に、春は花吹雪、夏は青嵐、秋の野分、冬の木枯らしが吹ききたり、吹き去って、洒々落々とわらいながら、一生を弱い者の味方として送った人です。
歴史には名は出ていなくても、隣家の大将、裏の姐さん、お向うの兄ちゃんには、神のように、父のように慕われ、うやまわれたんです。
泰軒はこれでいいのだ。
長々と余談にわたって、まことに恐縮ですが――。
しかし……今をときめく南町奉行、大岡様のおやしきへ、こうして夜中に、庭からやってくるなんて、この泰軒のほかにはない。
「やあ、呼んだから来たぞ」
と先生は、暗い植えこみの影のかさなる庭から、ブラリと縁側へあがりながら、
「おお、来てるのか」
愚楽老人をじろりと見やって、埃だらけの長半纏の裾をはね、ガッシと組む大あぐら――。