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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

九

だから、天下に何か困った問題が起こると、深夜コッソリこの三人が集まるんです。

「お呼びだてして、はなはだ恐縮だが――」

忠相はにこにこして泰軒を見た。

九

今までだって、何か重大なことが出来すると、よく夜中に、この越前守のお屋敷に三人があつまって、人ばらいのうえ、談合をかさねたものでありました。

吉宗公の言うことは、この愚楽老人から出る。

その愚楽老人の意見は、この忠相、泰軒、愚楽の三人会議の席上でまとまることがおおい。

三人寄れば……文殊の智恵。

並製の人間でも、三人も集まれば、大智者文殊に匹敵するくらいの智恵がわくものだという。

いわんや――。

ひとりでもおのおの文殊に劣らぬほど頭のいいのが、三人寄って智恵をしぼるんですから、この三人会議は、文殊跣足の智略の泉で。

たいがいの事件が、この三人の秘密会で、解決のつかぬということはない。

「どうじゃナ、湯かげんは」

泰軒は、だしぬけにこう言って、のんきそうな笑顔を、愚楽へ向けた。

「相変わらず、吉さんを洗っておるかの? じゃが、からだは人に洗わせることはできても、心は人に洗ってもらうわけにはゆかんからナ、アッハッハ」