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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
四
「では、日光に何か一役お持ちになりたいとおっしゃるので。それはそれは、ちかごろ御奇特なことで」
「はっ。おそれいります。お口ききをもちまして、何分ともに、日光さまに御奉公がかないますよう……」
そう言いながら、竹田はそっと顔をあげて、すばやく片眼をつぶった。
丹下左膳の片眼じゃアない。こいつはウインクです。
ウインクは、なにも、クララ・ボウあたりからつたわって、銀座の舗道でだけやるものと限ったわけじゃアない。
享保の昔からあったとは、どうもおどろいたもので――この石川左近将監の家来竹田某は、日本におけるウインクの元祖だ。
そのウインクを受けた田丸主水正、なにしろわが国ではじめてのウインクですから、ちょっとまごまご、眼をぱちくりさせてしばらく考えていたが、やがてその意をくんだものか、これもさっそく、キュッとウインクを返した。
「心得ました。必ずともに日光お役の一つを、石川殿に受け持っていただくよう、骨をおるでござろう。しかしそれも、この包みのなかみ次第でナ」
と、ニヤニヤしている。
もうすっかり、話の裏が通じたとみてとって、竹田はホット安心の体、
「いや、この品は、ほんの敬意を表するというだけの意味で」