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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

「そうとみえる。同じ文句を聞かされて、嫌になってしまった。どうしてああ来るやつも来る奴も、寸分たがわぬことをいうのじゃろう。まるで相談してきたようじゃぞ」

帳簿とそろばんは、声をあわして笑った。

「それにまた、あのにせ猿の茶壺をかざっておくことは、この際、いかにもよい思いつきじゃったテ。みながみな、言いあわしたようににせ猿に眼をとめては、結構なお品だの、これで柳生はたいそう金持の藩になったじゃろう、だのとナ、口々に祝いをのべて帰りおったぞ。冷や汗が流れた、ハッハッハ」

「それにつけましても」

と、うれいのこもる眉をあげたのは、そろばんでした。

「一刻も早く、ほんもののこけ猿を手にいれねば……」

「まったく。かくなるうえはなおのこと、こけ猿を見つけ出すが刻下の急務」

と、帳面も、肩を四角にしてりきむ。

「わしから一つ、高大之進に厳重に督促するとしよう」

主水正は、決然としてうなずいたのち、

「サ、ではやってしまおうか」

「は。それではこれで、いよいよ締め切りに……エエ石川左近将監どのより、四つ。ほかに、長船の刀一口。一石飛騨守様より五つ半、および絹地五反。堀口但馬さまより――」