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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
力柱と孕石
お三婆は吹筒を持ち、五右衛門は種ヶ島を携げて、三太夫を中に取りこめた。
吹矢と種ヶ島に狙われながら、三太夫は少しも驚かず、
「下郎推参!」
とただ一言、片手を頭上に振ると見る間に秋天高く虹の橋、五彩の色も美しく、果てもあらず懸かったが、才蔵を片手に抱えながら、三太夫はヒラリと乗り移った。
ドッと打ち出す種ヶ島、ヒューと飛び来る吹矢の矢を発止と杖で打ち落とし、老人と少年は次第次第に虹橋を渡って空に昇る。
「お三婆も五右衛門も、しばしおさらばおさらばじゃ! この伊那の地にも飽き果てた。虚空は旅路、大地は宿、風にまかせて東に西に、吾はこれより立ち去り申す。また逢う時までおさらばじゃ」
云う声さえもほがらかに、輝く日輪を背に負って、秋野の花を裾に見立て、さながら天界の神か仙人か、次第次第に姿は消えた。
力柱と孕石
「ここに立っているこの御柱が、信濃で名高い諏訪明神の力柱という奴じゃな。何しろ図太い柱じゃわい。大人四人が手をつないでも胴の丸味には適わぬという、ずば抜けて大きい杉丸太! 何様これじゃ幾年経ってもこの御柱を引き抜こうという強力者は出なかろうて」
ここは信州諏訪の郡、神宮寺村に神寂び立つ日本第一大軍神、建御名方命を祀った社、諏訪明神の境内で、秋とは云っても杉や檜の常磐木の葉に蔽われて、昼なお暗い四方の様子に旅人