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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
裸体武兵衛
「ほんとに名案でございますことねえ。これではいかな英雄でも閉口することでございましょう」小女郎が嬉しそうに云うのであった。
「それでは明日からポツポツと細工することに致しましょう」お夏もいそいそと云うのであった。
鈍二兵衛は少し心配そうに、
「ただここに一つ気懸かりなは、裸体武兵衛のことばかりだ。せっかくの拙者の名案も裸体武兵衛の手にかかったら立ちどごろに破れてしまうからの」
「はだか武兵衛の来ないように、どうぞしたいものでございますなあ」二人の女は嘆息をした。夜はしんしんと更けて行く。
「取り越し苦労をしたところで武兵衛が来なくなる訳ではなし、それより今夜は大陽気に、踊って別れるとしようかの?」
鈍二兵衛の言葉に元気づいて、三人は手拍子面白く足をはね上げて踊り出した。
「恵那の前山真っ暗じゃ」
まず鈍二兵衛がこう唄うと、
「幽霊星を見やしゃいな」
と小手抜小女郎が後を付ける。するとお夏がその後を云う。
「苗木の城はグラグラじゃ」
「城下に疫病が出来ようぞ」
「はだか武兵衛に知られるな」
「死人で丘をつくろうぞ」
「はだか武兵衛に知られるな」
「城下に疫病が出来ようぞ」