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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
臨終の妄執五百生
死んでくだされ、さあ死んでくだされ、この鎌で死んでくださりませ!」
吹きまいていた夜嵐がふとこの時途絶えた。その後から雨が落として来た。その雨にしとどに濡れながら二人はいつまでも立っていた。
臨終の妄執五百生
剛腹残虐の男に限ってかえって弟とか妹とか、そういう弱い肉親の者を人一倍愛するものであったが、紋十郎もその一人であった。
袂を取られ鎌をつきつけられ妹に自殺を勧められて彼はすっかり途方にくれた。もちろん自殺しようなどとは彼は夢にも思わなかった。しかしお吉を振り切って島君の後を追いかけることも彼には今は出来なかった。
で彼はともかく瞞して見ようと決心した。
「お吉」と彼は優しい声で、「まあそう急かずともよいではないか。誰が云ったか知らないが何んのこの俺が謀反などしようぞ。無益な疑い晴らすがよい」
「この期になっても兄さんは偽り云うのでござんすか。もうその手には乗りませぬ! さあこの鎌で死んでくだされ」
「それほど云うなら謀反の証拠をお前掴んでいるのであろうな?」
「いいえ証拠はござんせぬが右衛門さんが申したからにはよもや嘘ではございますまい」
「告げ口したのは右衛門か、おおかたそうとは思っていたが、そうと聞いてはあの右衛門いよいよ生かしては置かれぬわい」