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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「水晶山は俺の領地だ。人足どもは俺の奴僕だ。俺は俺の武力をもってそれらのものを手に入れたのだ」

「俺は俺の愛の力をもって、それらのものを解放したのだ」

「ところが気の毒にも失敗した」

「何、再度試るまでだ」

「貴様は俺の手中にある」

「と思うのは自惚れだ」

「そこでもう一つ聞くことがある。……貴様はいつからここにいるのだ」

「ちょうど今から二月ほど前に、貴様の乱暴な手下どものために山の麓で捕えられたのさ」

「京都産まれの青公卿が、何用あってかような辺土へ供も連れずにやって来たか?」

「聞きたければ話してやろう。つまり同志を募るためにだ」

「貴様の浅薄な正義自由、そんなものには同志は出来まい」

「それは貴様の云う通りだ、きわめて少数の同志さえ俺は得ることが出来なかった。しかし、その中作って見せる。そうして天下を取って見せる!」

「気の毒な空想! 可哀そうな理想!」

「その空想と理想がなければ人間は進化しないぞよ」

「とにかく貴様は面白い奴だ。主義思想の相違はあれ、俺には貴様が気に入った。で、俺は貴様に対して悪いようには計らうまい。……鳥市、その男の縄を解け!」

「待て!」と右京次郎は遮った。