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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

年は二人ながら十八、九でもあろうか、一人前の女だのに、無邪気に声を上げて泣いているのが、第一ひどく可愛らしかった。

「はい、あの勾玉と管玉をね」もう一人の乙女がこう云った。

「そうして誰が盗んだの?」

「岩山の人達でございますの」最初の乙女がすぐ答えたが、小さい拳を振り上げると、岩山に向かって打ち振った。それがまたひどく可愛らしかった。

「岩山の人達ってどんな人?」鳰鳥は次第に興味を感じ、くどく訊かざるを得なかった。

「いやらしい片輪者でございますの。そうして泥棒なのでございますの。何んでも欲しがるのでございますの。……百人も住んでおりますのよ」

「岩山のどこに住んでるの?」鳰鳥はさらに訊いてみた。

「ハイ、岩山の洞の国に」

と云われて、鳰鳥は改めて眼を上げて、その岩山を眺めて見た。

腐木の谷

岩山は非常に大きかった。そうして雑木に蔽われていた。しかし洞の口は見えなかった。薄雪が一面にかかっているので、ただ一様に灰色をなし、見る人の心を滅入らせはしたが、人間の姿などは見えなかった。

しかし、間もなく乙女達の言葉が、嘘でないことが証明された。

忽ち岩山の方角から、重い軋るような音がした。