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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
いやいや人間ばかりでなく、あらゆる生物にはこの慾望が、競争の形となって現われていた。雌雄競争であり生存競争である。
少しく例を挙げてみれば、羅馬人達が親しみを感じたアヴェンチン山河の「親愛の神」も、アリアン民族が尊敬したリンガ神の神体も、印度の人々がいつき祀っていたシャクテイ教の神体たる、ヨニーと称する物の形も、大黒天も聖天もそれなのである。
古代文明の第一位を占める、希臘においてさえこの信仰は、万人の胸に行き渡っていた。アポロは男性のそれであり、ヴィナスは女性のそれなのであった。バッカス祭の当日には、半裸体の男女が踊り狂いながら、畸形な御輿を担ぎ廻わったが、その畸形な御輿こそ、男のそれに他ならないのである。喇嘛教で祀る天地仏などは、その最も甚しいものであった。
花園、動物園、図書館
「麗人族」と云うだけあって、彼らは非常に美しかった。皮膚の色は純白で、いささかの黄味をさえ雑えていない。しかし髪は漆黒で、その点ではあくまでも日本人であった。瞳の色も黒かった。肉附きよく、身長高く、総体に風采は堂々たるもので、麗人の名に背かなかった。着ている衣裳は大時代で、日本の神代の衣裳であった。