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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

右京次郎団

「お父様の敵は死んでしまった。しかしお父様のもう一つの願い、――木曽の館の宝蔵にある、お父様の髑髏で作ったところの、髑髏の盃を取り出して、木曽川の深所の巴ヶ淵に、沈んでいるお父様の死骸へつなぎ合わせて、お上げしなければならない」

――と云うそういうことであった。

これは後日の出来事であるが、そういう鳰鳥の願望は、その後易々ととげられたのであった。

右京次郎団

すなわちそれから約一月――一月の日が経った時、義明を討たれて萎靡沈滞した、木曽の館を御嶽冠者の軍が、ほとんど一揉みに揉みつぶし、木曽の館を占領した時、その願望がとげられたのである。

宝蔵から髑髏盃が取り出され、巴ヶ淵から冠者と鳰鳥との、実父にあたる西班牙司僧、マドリド司僧の白骨が、さも盛大の儀式のもとに、引き上げられて祭られて、二者が一つにつながれた時、いかに感激的荘厳的の、鐘の音が鳴り渡ったことであろう!

さて鳰鳥と百地三太夫とは、御嶽山中を歩いて行く。

「それに致してもあなた様にはなぜ、最初にお目にかかった時から、妾の兄が御嶽山上に、籠っていることをご承知でしたのに、それを妾に仰せられず、御嶽山上へお連れもくだされず、あのような不思議な麗人国だの、あのような恐ろしい獣人国だのへ、おつかわしくだされたのでございましょう?」