轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
十九
いかさまこの女を自由にしたならば、報復として狂女お浦を、冬次郎は返してよこさないかもしれない。
それだからこそ阿蘭陀部屋の中へ、織江を一人で監禁し、自分は主屋の一室で、今まで考え込んでいたのであった。しかし彼はこう思った。
(狂女お浦を返したなら、清浄の織江をかえすという約束! ナーニお浦を連れ参らば、策を設けて奪い取り、犠牲にした織江をかえしたところで後の祭り、どうともなるまい)
(見ぬ前はそうとも思わなかったが、眼に見た織江の美しさ! 無垢、清浄、烈女型、真の処女の典型的の娘! それを目前に置きながら……)
(何かしら思い切った荒々しい所業を、断行しないことには欝積した心を、転換させること出来そうもない)
(ヨーシ、あの女を犠牲にして!)そこでこの部屋へ入り込んだのであった。
要するに一代の梟雄たる彼も、一時に寄せて来た今日の不幸に、精神乱れ思慮衰え、一個の小人となったのであった。
「織江殿」
とまたもソロリと、意次は足を進めたが、「そなたの美しさ、そなたの若さ、それで不幸のこの老人を、厭でもあろうが喜ばせてくだされ! ……いやいやいや、否やはいわせぬ! ……思い込んだことはこの意次、従来必ず通して参った! ……今も通す、通さでは置かぬ! ……鳥よ! アッハハハハ、可愛い色鳥! ……バタバタもがき羽搏いて、