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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
ほんとに、いまいましったら!」
お蓮様の舌打ちに、合の手のように、草の葉を打つ露の音が、ポタリと……。
それほど閑寂。
妻恋坂の道場の庭――その庭を行きつくした築山のかげに、小暗い木の下闇をえらんで、いま立ち話にふけっているのは、源三郎排斥の若い御後室お蓮様と、その相談役、師範代峰丹波の両人。
あれから源三郎、ドッカとこの道場に腰をすえて、動かないんです。
と言っても、もう萩乃と夫婦になったわけではない。ただ、一番いい奥座敷を、三間ほど占領して、源三郎はその一室に起居し、安積玄心斎、谷大八等の先生方は、源三郎を取りまいてその一廓に、勝手な暮しをしているのだ。
同じ屋敷にいながら、司馬道場の人々とは、顔が合っても話もせず、朝晩の挨拶もかわさないありさま……一つの屋敷内に、二つの生活。
持久戦にはいったわけだ。
どっちかが出るか、押し出されるか――。
こいつはよっぽど変わった光景で、お蓮様、峰丹波の一派は、源三郎を婿ともなんとも認めないばかりか、路傍の人間がかってにおしこんできたものと見ているので、われ関せず焉と、どんどん稽古もすれば、先生亡きあとの家事の始末をつけている。